腰痛の原因
腰痛は実に多くの方々が経験される身近な疾患です。ところがその原因については、現代医学でも完全には解明されていません。
しかし多くの調査や研究によって、座ったきりや中腰など同じ姿勢をとり続ける作業や動作を行う人に腰痛は多く、適度に動く作業・動作の多い人には腰痛は少ないと報告されています。そのあたりに腰痛の原因のメカニズムが隠されているのではないでしょうか。そのほか運動不足や老化による骨や筋肉・椎間板等の弱体化なども大きな原因のひとつになり得るでしょう。
ぎっくり腰の原因
急に腰をひねったり、重い物を持ち上げようとしたときなどに強い腰痛が発生するのを俗に「ぎっくり腰」とよんでいます。痛みのために腰部の運動が制限され、また体を動かすと腰痛が増強し、痛みが激しい場合は起立歩行が困難なこともあります。本態となる疾患はいろいろありますが、一般には腰筋の部分的挫傷(ざしょう)あるいは腰椎(ようつい)椎間板損傷であることが多いです。また、腰椎棘間靭帯(きょくかんじんたい)の断裂の場合もあるとされています。いずれにしても、寝たまま安静にしていれば痛みは軽減します。腰筋の部分的挫傷では片側の傍脊柱(ぼうせきちゅう)腰筋に限局性の圧痛があり、普通は腰椎前屈時に痛みがとくに強くなります。この場合は一般に比較的短期間に軽快しますが、慢性化することもあります。腰椎椎間板損傷では椎間板ヘルニアの場合があり、脊柱が側彎(そくわん)し、腰椎の運動が困難で、根性坐骨(こんせいざこつ)神経痛をきたします。いずれの場合も受診して痛みの原因を明確にし、適切な治療を受けることが必要です。
ぎっくり腰の治療法
当院においては基本的にほかの部分の治療も同様ですが、状態に応じてアイシングあるいは、温熱療法それに低周波・中周波・高周波、超音波・高電圧波・マイクロ波・磁気波等を適宜組み合わせ、さらにマッサージ・整体的矯正法・運動療法・マニュプレーション・整骨法・固定法を選択、施行し、日常生活指導・運動指導等も加え、ひとつの治療として完結させております。一言で言えば、ケースバイケースでベストな治療をつねに追究・施行いたします。
椎間板ヘルニアについて
椎間板は背骨の間にあるクッションの役割をする軟骨のことです。ヘルニアとははみ出した状態を指す医学用語です。つまり腰椎椎間板ヘルニアとはクッションがきずついて中身の髄核がはみ出した状態です。このはみ出した髄核によって神経根が押されると下肢の症状が出ます。多くは坐骨神経になる神経根が押されるため、臀部から大腿後面、ふくらはぎ、足にかけて痛みやシビレが出ます。立っているときは、痛い方の股関節と膝を曲げ神経が緩むような姿勢をとります。またおじぎをすると腰から大腿の裏側にかけてつるような痛み出ます。
大腿の前面や脛の内側に痛みが出る場合は、大腿神経になる神経根が押されているためです。腰椎椎間板ヘルニアは、10歳代から発症し、特に中年以降に多くみられます。
重いものを持つことが原因の場合もありますが、はっきりとした原因がなく発症することもあります。
治療は、安静、腰椎ベルトでの固定、パップ剤の貼付、軽い運動法やストレッチ、マッサージ、矯正法、低周波や超音波、高周波などの理学療法です。多くの場合、無理さえしなければ3週間前後でほとんどの場合、症状は良くなります。
痛みが治まらない場合や筋力が低下してる場合は、神経根を押しているヘルニアを取り除く手術が必要となることがあります。
腰痛にならないためには
日頃より立位・座位で作業をする場合には、長時間同じ姿勢をとらぬようにして、時々体位を変えて腰を休ませること。ものを持ち上げるときはその格好に気をつけて行うこと。
あとは何と言っても筋肉・関節の強さと柔軟性を確保することが肝心です。
腹筋を中心に体幹の筋力をキープし、体操やストレッチなどで積極的に柔軟性を獲得してください。痛いからと言って、寝たりして安静ばかりとっているのはいけません。
いろいろな研究で「安静は腰痛治療に寄与しない」ことが報告されています。
その他の腰痛疾患
■子供から比較的若い方に多いもの
腰椎分離症、筋筋膜性腰痛、椎間板ヘルニア、椎間板症、腰部捻挫
■中高年から高齢者に多いもの
変形性腰椎症、腰椎すべり症、脊柱管狭窄症、骨粗しょう症、腰部捻挫